エリート上司と秘密の恋人契約
「いろいろとさ、勝手なことを言って、結局美弥を泣かせてしまったけど」


「うん?」


和真が足を止めたから私も止める。

和真が富士山を見たから私も見る。白い雲が頂上に帽子を被せるようにかかっていた。

そんな姿の富士山も素敵だなと思いながら、また和真を見て、続く言葉を待つ。

和真の想いの全てを伝えて欲しい。


「それでも俺には美弥しかいない。美弥しか欲しくないと思った」


「うん」


これから伝えられる言葉はきっと嬉しい言葉ばかりだと予感する。

絶対に全部覚えておこう。

私自身がICレコーダーとかの録音機になりたい気分だ。永遠に保管しておきたい。


「俺と付き合って」


ストレートにきた!

握る手が微かに震えた。

でも、焦らない。落ち着こう。


「それって、また条件あるの?」


「条件? ああ……そうだな。あるよ」


前のように期限を付けられたくないけど、聞いておかなければならない。

どんな条件を提示されるのか確認しなければならない。


「期限がある」
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