エリート上司と秘密の恋人契約
もう撮れない。もう和真コレクションが増やせない。残念だけど、今までのを消去されては困るから承諾するしかなかった。

寝顔がダメなら起きているときを撮らせてくれないかな。もう少しコレクションを増やしたい。


「勝手に撮らないのなら、撮ってもいいの?」


「は?」


「はい、和真。撮るよー、笑ってー」


返事が来る前にスマホを向けた。笑わなかったけど、構わないで撮った。

眉間にシワを寄せた画像がコレクションの1枚となる。


「美弥、今のは消せよ」


「嫌です。私のだもん」


私のスマホを取り上げようと和真が手を伸ばすから、私は胸の中に抱き締めた。

新しく加わった目を開けた和真の画像を消されては困る。貴重な1枚だ。


「はあ。仕方ないな」


頑なに拒んだので諦めてくれた。粘り勝ちである。私は嬉しくて、笑う。


「ハハッ、美弥には敵わないな。惚れた弱味というか、俺の負けだよ」


「フフッ、やった!」
< 226 / 232 >

この作品をシェア

pagetop