エリート上司と秘密の恋人契約
駐車場で車を降りて、並んで歩く。


「本当に今から言うの?」


「もちろん。本間の反応が楽しみだし」


「ええっ! 和真ったら、悪趣味だよ」


さやかさんに報告をするために和真は広報部のフロアまで一緒に行く。

そこまで歩くだけで、いろんな人に私たちは注目されていた。

やっぱり目立つのは和真だ。つい離れて歩こうとする私の手を和真がしっかりと握るから本当に周りの視線が痛かった。


「さやかさん、おはようございます」


「おはよう。えっ、何で諸橋くんまでいるの?」


「本間、おはよう」


並ぶ私たちの姿を見て目を丸くするさやかさんに和真は涼しい顔をして、朝の挨拶をする。

フロア内でも出社してきている他の社員に注目されていた。

本当にここで言うの?

恥ずかしい。


「あの、さやかさん、報告があって」


「うん、聞くよ」


座っていたさやかさんが微笑んで立ち上がる。

私は続きを和真に言ってもらおうと和真を見た。和真は頷いてから口を開く。
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