エリート上司と秘密の恋人契約
だって、まだ始まったばかりの私たちだから。

こんな答えで納得してくれるかな?

和真の顔色を窺う。


「うん、そうだと思った。それが当たり前だよ。俺がムチャなことを言っているんだからね」


和真は優しく笑って、私の頭を撫でてからコーヒーを飲む。

和真が笑ってくれたから私も笑える。


「そうだよ。和真がムチャなことを言うから」


軽く笑い飛ばすことができて、緊張がほぐれていく。


でも、私は昨日、今日と一緒にいて惹かれていくのを感じている。だけど、1ヶ月という短い交際で、本気になってしまったら、1ヶ月後の別れが切なくなる。

心が傷付く。

だったら……傷付かないようにするには……


「美弥、どうした?」


笑っていた私が下を向いて黙り込むから、和真が心配そうに頭を撫でてきた。


「ううん、何でもない。やっぱりちょっと疲れたかな」


軽々と好きになってはいけないと思った。

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