エリート上司と秘密の恋人契約
不機嫌な表情を見せる小沢は珍しくて、答えるのに戸惑う。


「あの、えっと、年上の人なんだけどね」


「星川。もしかして、彼氏出来たのか?」


私の両肩を持って、切羽詰まった顔をする小沢にたじろぐ。不機嫌を通り越して、怖い顔になってきていた。

和真を優先にした私が悪い?

でも、和真との約束のほうが先だった。

どう話したら、納得してもらえるか分からないけど、今ここで説明をしている時間はない。和真が待っているから急がなくてはならない。


「まじでごめん! 今度ゆっくり話すから」


「分かった。じゃあ、今夜話して」


「ええ? 今夜?」


「そ、今夜ね。よろしく」


夜、一緒にご飯を食べることを約束するとすんなり離してくれた。ちゃんと夜に説明出来るか自信はないけど、とりあえず今は和真のもとへと急ぐ。

和真との交際を内緒にしたいと言ったのは私だけど、内緒にするのはいろいろと不都合が出てくる。和真ではない架空の恋人を作っておこうかな。


指定された場所に和真を見つけ、小走りした。

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