エリート上司と秘密の恋人契約
「俺が、さっき言ったのは……」


「はあー」と大きなため息をついて言葉を繋げる。私たちは小沢に注目していた。

3人からの視線に嫌そうな顔を見せながらも、言わずにいれないこの状況を小沢は仕方なく受け入れる。少々気の毒にも見えるが、興味津々の私は助け船を出さない。


「気持ちは嬉しいのですが、好きな人がいるので、ごめんなさい……と言いました」


「ええ? 小沢、好きな人がいたの? いや、いるの?」


小沢の過去の恋愛はいくつか聞いたことがあった。でも、現在進行形で好きな人がいるとは聞いたこともないし、思ったこともない。

好きな人がいるなら話してくれたらいいのに、水くさいな。

教えてくれたら、出来る限りの協力してあげるのに。


「クスッ。やっぱり美弥は鈍いわねー。小沢くんも大変ね。さあて、そろそろ帰ろうか? まだ明日も明後日も仕事だしね」


週末ではないからのんびり飲んではいられない。会計をして外に出た。

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