エリート上司と秘密の恋人契約
二人は和やかに話して笑うけど、何も分からない私はその会話に入れない。


「星川さん、諸橋はいいヤツだからね。よろしく頼むよ」


訳のわからないまま、和真のことを頼まれて困る。

ううん、それよりもまるで私たちの関係を知ってるかのような口振りはなに?

なんで?

和真が話したの?


「あの、意味がよく分からないので教えてもらってもいいでしょうか?」


「クスッ、ダメだよ。内緒なんだろ? なあ、諸橋?」


「はい、もちろんです」


私だって当事者のはずなのに内緒にされるなんて……そう簡単に口を割りそうもない二人に私は別の質問をした。


「あの、お二人の関係は?」


私と和真の接点が見つからないのと同じでこの二人の接点も私には見つからなかった。

でも、二人はとても親しそうだし、信頼し合っている感じが読み取れる。


「ああ、黒坂さんは俺の教育係だったんだよ。社長秘書になる5年前までは事業開発部にいたからね」


「あー、そうだったんですか」
< 88 / 232 >

この作品をシェア

pagetop