エリート上司と秘密の恋人契約
私が入社してから黒坂さんはずっと社長秘書している。でも、黒坂さん自身が入社してからずっと秘書ということはないだろう。

そうか、和真の教育係をしていたんだ。

そのことを聞いてスッキリしたけど、まだ全てスッキリしてはいない。知らないうちに私は和真と関わっていたのかもしれない。

黒坂さんまで知っている様子だし。

でも、いったいどこで私は何をしたのだろう。

心の中にモヤがかかる。


「じゃ、俺はこれから出掛けるんで。黒坂さん、美弥に変なこと言わないでくださいよ」


黒坂さんは口が固そうだけど、和真は念には念を入れるタイプなようだ。

和真がいなくなるなら、コッソリと教えてもらうチャンスだと思った私の考えは見透かされていたらしい。

出ていく和真を見て、肩をすくめた。

どことなく楽しそうに笑う黒坂さんが座るように促したので、対面に座る。

私は持参した取材の概要を渡した。目を通す黒坂さんの真剣な眼差しをただ見ていた。
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