エリート上司と秘密の恋人契約
「そんなにじっと見られるとさすがに俺も照れるよ」


資料を最後まで見た黒坂さんが顔をあげて、私と視線を絡ませる。照れているようには見えないけど、ジッと見るのは失礼なことだった。


「あ、いえ。すみません。大丈夫かな? と気になってしまっていて」


「ああ、内容に問題はないよ。このまま社長に渡しておくし。そうそう、スケジュールだよね。待って」


黒坂さんは自分のデスクに行き、ノートパソコンを操作する。

私はタブレットを取り出して、伝えられる日にちを待った。取材には課長と主任と私も立ち会うので、こちらのスケジュールとも合わせなくてはならない。


「えーと、来月でいいんだよね?」


「はい」


「じゃあ、4月の16日にしてもらおうかな。そっちの都合はどう?」


4月16日……広報部のスケジュール一覧表を開いて確認。


「時間とか希望はありますか?」


「午後であれば今のところ空いている」
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