エリート上司と秘密の恋人契約
これは嘘ではない。和真は撮らせてくれないのだ。自分は私を撮るくせに。

だから、私は寝ている和真を気付かれないように数枚撮った。

昨夜はこの和真を見ながら一人でにやけてもいた。今夜も寝る前に見ようかな。


「なんなのよ、そのにやけた顔は~。今度紹介してよ」


「ええ! はい……」


思い出したことで、指摘されるほど口元を緩ませてしまった。慌てて口を隠す。

紹介出来る日は来ないであろう。でも、ここでは「はい」と言うしかなかった。



* * *


和真と付き合ってから三度目の週末の土曜日、私たちは黒坂家におじゃましていた。


「わあ、かわいい」


黒坂さんと共に出迎えてくれたのは白いふわふわした猫。丸い目がとてもかわいらしく私はすぐに抱っこさせてもらった。

だけど、私の腕からするりと逃げて出してしまって、和真の足元に擦り寄る。


「やっぱりミヤは和真が好きだよな」


「えっ? み、みや? え、あの……」


猫の名前はミヤ? で、私の名前も美弥……これはどういうこと?
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