エリート上司と秘密の恋人契約
「でも、どうしてミヤと?」


「はい、どうぞ」


「あ、ありがとうございます」


黒坂さんが戻ってきて、コーヒーと私が持ってきたクッキーをテーブルに置く。

砂糖を入れて、かき混ぜる。和真と黒坂さんは何も入れないで飲んでいた。


「俺もね、一目惚れしたとしか聞いていないんだよねー。諸橋、詳しく話せよ」


「ひ、一目惚れ?」


最初に笑顔がいいとかなんとか言われたけど、一目惚れとか聞いていないし、ごく一般的なこの容姿に一目惚れするなんてありえない。

客観的に見てもごく普通のどこにでもいそうな顔だと思う。チャームポイントはどこ? と聞かれるととりあえず二重な目と答えるけど、なんだかバランスが悪いと思うし…。

和真の好みが私だったら、趣味が悪いと言われそう。


「俺が美弥のことを知って、好きになったのは一昨年の社内発表会の時です」


「ああ、あの毎年秋にやっている発表会?」
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