胡蝶の夢
目が覚めた。白い天井、ここはどこ。私の部屋じゃ無いじゃない!
私は起き上がろうとした、でも上手くいかない。足が動かない?いや、足の感覚が無い?
手をバネにしてやっとの事で起き上がって、足を見る。
「あああああああああああああああああああああああああっ!あああああああああああぁ!」
絶叫した。
「足がっ、私の足があっ!」
私の足が無い!私の、私の足がっ!
これじゃあ歩けないじゃ無い!歩くどころか走ることさえも!
私の人生はどうなるっていうの?
私の頰を涙が滑り落ちる。
痛みが走った。
「あああ、がああ、痛い、痛いよぉ!」
ナースが部屋に飛び込んできた。
私の意識はそこで落ちる。
私が次に目覚めた時、母が私の手を握りしめていた。
私はショックと痛みに気絶してしまっていた。
「ごめんねぇ、ごめんねぇ、私のせいやから、ごめんねぇ」
母は泣きながらひたすら私に謝った。
お母さん、ごめんなさい。
一段落ついた後、医師が入ってきた。
「ねえねえ、理穂ちゃん、ちょっと、質問いいかな?」
ビクッとした。
「はい…」
ニコリと彼は微笑んだ。
「倒れた時、何をしていたのかな?」
「スマホが落ちたんです。」
「ふーむ、、そりゃ災難やなぁ」
先生は少し間を置いてから
「じゃあもう一個、質問しても良いかな?」
「はい」
「どこに行こうとしていたのかな?」
ギクリとした。
背中に冷たい汗が流れる。
「学校に、行こうかな、なんて。
その、肝試しで。」
医師の顔が硬くなる。
「え、えぇっとぉ」
医師の顔が元に戻る。ニコニコしながら、
「そっかー、大変だったね。お時間取らせてごめんね!お大事にー」
彼が振り向いていった。
「保護者の方、少し宜しいでしょうか?」
母が出て行った。