好き以上


「……み、みなさんお集まりで」

じわじわと間隔を詰められてくる数人の女子の威圧感に完全に飲まれた私は、引き攣った笑みを浮かべながら、背後に下がる。

が、残念ながら先は行き止まり。閉ざされたドアが私の背中に当たる。
ダメだ。完全に逃げ道を失った。


「小町ちゃん」

「はっ、はい」

先頭を切っていた螢ちゃんが口を開く。思わず肩がはねた。

螢ちゃんについては、いつも通りの表情を浮かべているが、その瞳はいつもよりも真剣みが3倍増しだ。これは絶対何か裏にある。そうだ。そうに違いない。


「小町ちゃん、今から、暇だよね」

どうして肯定で聞いてくる!? 普通、暇かな? じゃないのそれ。

まずい。私を逃がす気がない。私から言質を取ろうとしている。

私に何をさせる気かは知らないけど、絶対関わらないほうがいいと私のそれほど鋭くもない勘がうるさいほどに警報を鳴らしていた。


先手必勝! ここは適当な理由をつけて逃げるべし!


「い、今から部活だからひ、暇じゃないかな」

「じゃあ、大丈夫だ」


人の話聞けよ!

声を荒らげて、言いたくなった。でも私はそれを飲み込まざる負えない。

私はなんせ、教室では一応、超人ハイスペック淑女、西高の小野小町キャラで通っているからだ。こんなところで声を荒らげでもしたら、今まで積み重ねてきたすべてが灰と化す。


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