好き以上


「うぎゃ」

瞬間、あまりのしょっぱさに、思わず変な声が出た。

なにこれ、しょっぱ……! 
しょっぱすぎて、もはや辛くさえ感じるなにこのクッキー、クッソ不味い! 

罰ゲームでもこんなクッキー出てこないよ! 

最後の最後で塩と砂糖間違えた!


おそらく姉弟そろって同じような顔になっているだろう。

私は勢いよく紅茶を口に流し込んで、何とかクッキーの塩っ辛さと紅茶の甘さを中和させる。それでもまだ、舌はびりびりと痺れているかのようだった。

涙目になりながら、私は何とかそのクッキーを無理やり飲み込む。

少し落ち着いたところで、頭の中にあの嬉しそうに笑う笑顔が浮かぶ。

ああ、そういうことか。
真冬くんがどうしてクッキーを食べた後、笑っていたのか、ようやく理由がわかった。

先輩らしいって、そういうことか……。
自分らしいあほな失敗に、私はおでこを押えて肺の中にある空気を吐き出す勢いで、ため息をつく。

バカすぎる私……砂糖と塩を間違えるとか……どこのドジッ子だよ。

こんなもの貰ったら、普通の人は絶対声に出してまずいと言うに違いない。言わずとも、顔に出ていたはずだ。


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