お帰り、僕のフェアリー
最後に水物の苺と創作菓子が運ばれてから、由未がおもむろに口を開いた。
「静稀さん。お知り合いになれて本当にうれしかったです。今日みたいなセルジュ、はじめて見たんですよ。この人、こんなに綺麗な顔やしすごくもててきたけど、むしろ言い寄る女にはかわいそうなぐらい冷たい人やったんですよ。」
「由未、遣り手婆みたいだよ。」
急に僕の売り込みをはじめた由未を慌てて止める。
由未は首をすくめて、押し黙った。
変な空気の中、静稀が背筋を伸ばして言った。
「私も!今日はお二人についてきてしまいましたが、普段はこんなはしたないこと……あの……。」
静稀が急に何を言い出すのか、と、由未はきょとんとしている。
でも僕には、静稀の言わんとしてることが伝わってきた。
今日、静稀と出会ってから、ずっとそうだ。
僕と彼女は同時に恋に落ちて、同じ速度で想いを膨らませているのだろう。
恋に臆病だったはずの二人が、一足飛びで。
「静稀、いいよ。わかってるから。」
そう言うと、静稀は両の眼に涙をあふれさせた。
僕が殻を破って静稀に近づきたいと思ったように、いかにも男に免疫がなさそうな静稀もまた僕に近づいてきてくれている。
僕以上に静稀には勇気が必要だっただろう。
ますますわけのわからない様子の由未に向かって、僕は言った。
「お互いに一目惚れだ。まだ、自分自身の感情と行動に戸惑っている。でも、僕は彼女を大切にしたいと思ってる。」
自分でも驚くほど力の入った言葉だった。
由未は、ぱああっ!と顔を輝かせて、手を叩いた。
「キャーッ!素敵!セルジュ、かっこいい!静稀さん、これからよろしくね!」
静稀は、泣きむせびながら、こくこくっ、と何度も頭を上下に振り続けた。
こうして、僕らの恋が始まった。
「静稀さん。お知り合いになれて本当にうれしかったです。今日みたいなセルジュ、はじめて見たんですよ。この人、こんなに綺麗な顔やしすごくもててきたけど、むしろ言い寄る女にはかわいそうなぐらい冷たい人やったんですよ。」
「由未、遣り手婆みたいだよ。」
急に僕の売り込みをはじめた由未を慌てて止める。
由未は首をすくめて、押し黙った。
変な空気の中、静稀が背筋を伸ばして言った。
「私も!今日はお二人についてきてしまいましたが、普段はこんなはしたないこと……あの……。」
静稀が急に何を言い出すのか、と、由未はきょとんとしている。
でも僕には、静稀の言わんとしてることが伝わってきた。
今日、静稀と出会ってから、ずっとそうだ。
僕と彼女は同時に恋に落ちて、同じ速度で想いを膨らませているのだろう。
恋に臆病だったはずの二人が、一足飛びで。
「静稀、いいよ。わかってるから。」
そう言うと、静稀は両の眼に涙をあふれさせた。
僕が殻を破って静稀に近づきたいと思ったように、いかにも男に免疫がなさそうな静稀もまた僕に近づいてきてくれている。
僕以上に静稀には勇気が必要だっただろう。
ますますわけのわからない様子の由未に向かって、僕は言った。
「お互いに一目惚れだ。まだ、自分自身の感情と行動に戸惑っている。でも、僕は彼女を大切にしたいと思ってる。」
自分でも驚くほど力の入った言葉だった。
由未は、ぱああっ!と顔を輝かせて、手を叩いた。
「キャーッ!素敵!セルジュ、かっこいい!静稀さん、これからよろしくね!」
静稀は、泣きむせびながら、こくこくっ、と何度も頭を上下に振り続けた。
こうして、僕らの恋が始まった。