お帰り、僕のフェアリー
動揺を隠して、普通の会話を取り繕う。
「由未、お腹はすいてる?すぐ夕食にするかい?」
「うん。じゃ、着替えてくる。」
由未が自室で制服からラフな格好に着替える間に、僕らは台所へ。
マサコさん手書きのメニュー表を見ながら、冷蔵庫と鍋を確認し、温め直して配膳する。
豪華というか、御祝い膳だよ、これは。
まさかの鯛づくし。
確かに、春の明石鯛は旬だけど、マサコさんの意図は御祝い、だろうな。
苦笑しつつも、マサコさんの温かさをありがたく想った。
たけのこと鯛のお造りの木の芽和え
鯛の奉書焼き
鯛の兜煮
鯛しんじょうのお吸い物
鯛飯
「いつもこんなに豪華なの?」
静稀の当然な問いかけに、肩をすくめる。
「いつもは普通に和洋折衷の家庭料理なんだけどね……。僕だけじゃなく、由未とマサコさんも静稀を歓迎してるってことみたい。」
うれしそうにはにかむ静稀は、また一段とかわいくて、僕はついつい静稀を片手に抱き寄せて白い頬や額に口づけを落とす。
「セルジュって、ムッシュ・エチケットやと思ってたけど、普通にフランス人やったんやね。外では控えや~。」
ラフなワンピースに着替えた由未が食堂に入ってくる。
「ご忠告ありがとう。国籍は日本だけど、まあ、気を付けるよ。さ、食事にしようか。」
由未に見られて赤くなってる静稀を席までエスコートして、椅子を引いて座らせる。
「はい、由未も、どうぞ。」
ついでに由未の椅子も引いてあげると、満足そうに座った。
マサコさんの心づくしの御馳走は、どれも手が込んでいて、とても美味しくて。
静稀に笑顔をくれてありがとう!と、いつも以上に、僕はマサコさんと由未に感謝の念を抱いて晩餐を楽しんだ。
20時過ぎ。
静稀を乗せたタクシーを見送ってから、由未に再び僕は怒られてしまった。
「フランス人にフレンチキスするな、って言うても無駄かもしれんけど、2人とも唇、赤く腫れて明太子になってたで!今後、静稀さんのお稽古や舞台の前は、気ぃつかってあげや!」
……それは、気づかなかったな。
「国籍は日本だけど、気を付けるよ。ご指摘ありがとう。」
ちなみに、静稀もまた、現在の同室の先輩に唇が腫れていることを指摘されたらしい。
〈からいものを食べた、って誤魔化しておきました〉
……いや、誤魔化されてないだろう、それでは。
「由未、お腹はすいてる?すぐ夕食にするかい?」
「うん。じゃ、着替えてくる。」
由未が自室で制服からラフな格好に着替える間に、僕らは台所へ。
マサコさん手書きのメニュー表を見ながら、冷蔵庫と鍋を確認し、温め直して配膳する。
豪華というか、御祝い膳だよ、これは。
まさかの鯛づくし。
確かに、春の明石鯛は旬だけど、マサコさんの意図は御祝い、だろうな。
苦笑しつつも、マサコさんの温かさをありがたく想った。
たけのこと鯛のお造りの木の芽和え
鯛の奉書焼き
鯛の兜煮
鯛しんじょうのお吸い物
鯛飯
「いつもこんなに豪華なの?」
静稀の当然な問いかけに、肩をすくめる。
「いつもは普通に和洋折衷の家庭料理なんだけどね……。僕だけじゃなく、由未とマサコさんも静稀を歓迎してるってことみたい。」
うれしそうにはにかむ静稀は、また一段とかわいくて、僕はついつい静稀を片手に抱き寄せて白い頬や額に口づけを落とす。
「セルジュって、ムッシュ・エチケットやと思ってたけど、普通にフランス人やったんやね。外では控えや~。」
ラフなワンピースに着替えた由未が食堂に入ってくる。
「ご忠告ありがとう。国籍は日本だけど、まあ、気を付けるよ。さ、食事にしようか。」
由未に見られて赤くなってる静稀を席までエスコートして、椅子を引いて座らせる。
「はい、由未も、どうぞ。」
ついでに由未の椅子も引いてあげると、満足そうに座った。
マサコさんの心づくしの御馳走は、どれも手が込んでいて、とても美味しくて。
静稀に笑顔をくれてありがとう!と、いつも以上に、僕はマサコさんと由未に感謝の念を抱いて晩餐を楽しんだ。
20時過ぎ。
静稀を乗せたタクシーを見送ってから、由未に再び僕は怒られてしまった。
「フランス人にフレンチキスするな、って言うても無駄かもしれんけど、2人とも唇、赤く腫れて明太子になってたで!今後、静稀さんのお稽古や舞台の前は、気ぃつかってあげや!」
……それは、気づかなかったな。
「国籍は日本だけど、気を付けるよ。ご指摘ありがとう。」
ちなみに、静稀もまた、現在の同室の先輩に唇が腫れていることを指摘されたらしい。
〈からいものを食べた、って誤魔化しておきました〉
……いや、誤魔化されてないだろう、それでは。