お帰り、僕のフェアリー
「フランスは、いつでも行ける。静稀が行きたいなら、静稀が歌劇団を卒業してから一緒に行けばいい。僕は、ずっと君のそばにいる。」
僕は静稀の目を覗き込んで、言った。
「静稀を置いていかない。僕にも静稀が必要だから。静稀が卒業したら、すぐに結婚しよう。」
静稀は、大きく目を見開き、頬を上気させた。
「結婚……」
「うん。何年後になるかわからないけれど、ずっと一緒に生きる、約束をしよう。」
「はい!」
真っ赤になって、それでも力強く返事する静稀は、とても幸せそうでかわいかった。
これでいい。
これからは、ずっと、僕が静稀に笑顔と幸せをあげるんだ。
それこそが、僕の幸せだ。
僕は、左でぎこちなく静稀を抱き寄せた。
……結果的に、静稀に抱き留めてもらう形になってしまったが。
翌日、僕はあっさり退院した。
迎えに来てくれた静稀を連れて、デパートに立ち寄り、Van Cleef & Arpels(ヴァンクリ)をのぞく。
静稀は値段を見て固辞してしまったけれど、Van Cleef & Arpelsなら伯父の顔も利くだろう。
今の静稀の年齢にふさわしい可愛いピンクダイヤをantique(アンティーク)風にしつらえてもらおうか。
静稀にはbaroque(バロック)様式よりRococo(ロココ)が似合いそうだ。
とりあえず、静稀の好みと指輪のサイズを確認して、僕らは家に帰った。
帰宅すると、マサコさんが出迎えてくれた。
マサコさんは、静稀の手を取って泣いていた。
静稀も泣いていた。
とても幸せな夜だった。
静稀は、僕の右手になろうと、甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
僕は静稀の気持ちに甘えて、介護される幸せにひたった。
静稀が肋骨を折った際には、ギプスではなくコルセットのようなサポートベルトを用いたので、問題なく入浴もできたらしい。
しかし今回の僕は、右肩から肘までを一般的なギプスでかっちり固められているためシャワーも無理そうだ。
ギプスがはずれるまで、静稀に髪を洗ってもらい、体を拭いてもらう、ということになりそうだ。
……もしかして僕は東京にまで、静稀に世話をしてもらいに行くのかもしれない。
「悪いね……」
気恥ずかしい僕とはうらはらに、静稀はものすごく楽しそうに介護してくれた。
僕の役に立てるのが、うれしくてたまらないらしい。
「私、すっごく幸せみたい。ね、食事も食べさせてあげる!無理に左手で食べなくていいから。」
……僕は苦笑するしかなかった。
僕は静稀の目を覗き込んで、言った。
「静稀を置いていかない。僕にも静稀が必要だから。静稀が卒業したら、すぐに結婚しよう。」
静稀は、大きく目を見開き、頬を上気させた。
「結婚……」
「うん。何年後になるかわからないけれど、ずっと一緒に生きる、約束をしよう。」
「はい!」
真っ赤になって、それでも力強く返事する静稀は、とても幸せそうでかわいかった。
これでいい。
これからは、ずっと、僕が静稀に笑顔と幸せをあげるんだ。
それこそが、僕の幸せだ。
僕は、左でぎこちなく静稀を抱き寄せた。
……結果的に、静稀に抱き留めてもらう形になってしまったが。
翌日、僕はあっさり退院した。
迎えに来てくれた静稀を連れて、デパートに立ち寄り、Van Cleef & Arpels(ヴァンクリ)をのぞく。
静稀は値段を見て固辞してしまったけれど、Van Cleef & Arpelsなら伯父の顔も利くだろう。
今の静稀の年齢にふさわしい可愛いピンクダイヤをantique(アンティーク)風にしつらえてもらおうか。
静稀にはbaroque(バロック)様式よりRococo(ロココ)が似合いそうだ。
とりあえず、静稀の好みと指輪のサイズを確認して、僕らは家に帰った。
帰宅すると、マサコさんが出迎えてくれた。
マサコさんは、静稀の手を取って泣いていた。
静稀も泣いていた。
とても幸せな夜だった。
静稀は、僕の右手になろうと、甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
僕は静稀の気持ちに甘えて、介護される幸せにひたった。
静稀が肋骨を折った際には、ギプスではなくコルセットのようなサポートベルトを用いたので、問題なく入浴もできたらしい。
しかし今回の僕は、右肩から肘までを一般的なギプスでかっちり固められているためシャワーも無理そうだ。
ギプスがはずれるまで、静稀に髪を洗ってもらい、体を拭いてもらう、ということになりそうだ。
……もしかして僕は東京にまで、静稀に世話をしてもらいに行くのかもしれない。
「悪いね……」
気恥ずかしい僕とはうらはらに、静稀はものすごく楽しそうに介護してくれた。
僕の役に立てるのが、うれしくてたまらないらしい。
「私、すっごく幸せみたい。ね、食事も食べさせてあげる!無理に左手で食べなくていいから。」
……僕は苦笑するしかなかった。