お帰り、僕のフェアリー
こうして数日の蜜月を過ごし、静稀は東京公演のお稽古を始める。
静稀は毎晩お稽古を終えると、僕の家にタクシーで駆け付けた。
「やっぱりね~、お稽古に対しても前向きにがんばれるみたい!セルジュにいいとこ見せるんだ~。」
おそらく技術としては飛躍的な変化はないのだろうが、静稀の姿勢と表情がムラでの公演の時とは全く別人となったらしい。
静稀はようやく、止まっていた成長を再開した。
すぐに、石井さんから僕に連絡がきた。
静稀と僕のよりが戻ったことで、榊高遠くんがまた輝き始めた、らしい。
お礼を言ってくださる石井さんに、僕は東京公演の全日程のチケットを全て2階席で準備してもらうようにお願いをした。
12月29日、静稀は先に東京へと旅立った。
僕も一日遅れて向かうつもりだったのだが、思わぬ人がやってきた。
僕の父だ。
「セルジュ!顔が!ああああっ!」
亡き母に似た僕の綺麗な顔を愛してやまない父は、僕のギプスよりも既にガーゼの取れたかさぶただらけの右頬を見て、大騒ぎした。
「お帰りなさい。どうしたの?急に。珍しいじゃないか。」
「どうもこうも、マサコさんに知らせていただいて、飛んで帰ってきたんじゃないか!」
クリスマス&ニューイヤーシーズンなんて、パーティーで忙しかろうに、よく帰ってきてくれたな。
普段会えないけど、いや、会えない分、父の愛情を感じて、僕は素直にうれしかった。
ちょうどいい機会なので、僕は父に静稀の話をした。
10年後か、15年後か、下手すれば20年後かもしれないけど必ず結婚します、って。
父は、感慨深そうだった。
そして、忙しい父は、我が家にきっちり5時間だけ滞在して、また赴任国へ飛んで帰宅した。
Merci d'être venu,papa
……来てくれて、ありがとう……パパ。
年の瀬の新幹線は、さすがにすごい混雑だった。
右手の使えない僕は、荷物を全て送ってしまい、身ひとつで移動したが、それでも大変だった。
マサコさんの言う通り、グリーン車を予約しといて正解だったな。
ホテルにチェックインすると、そのまま眠ってしまったぐらい、疲れた!
静稀は、夜22時頃やってきた。
「おかえり。」
笑顔をキラキラさせて、静稀が僕に飛び込んでくる。
右手が使えず支えきれない僕は、倒れそうになる。
「危ないよ。」
静稀の頭を撫でながらそう窘める。
「ただいま!セルジュ〜。会いたかった〜。1日長かったよ」
僕にすり寄ってくる愛しい静稀。
「お稽古がんばれた?悔いなし?」
「うん!がんばった!今更泣くほどがんばった!」
今更(笑)
確かに、既にムラで1ヶ月半公演してきてるのに。
静稀がいかに気持ちを入れてなかったかを改めて知り、僕は苦笑した。
静稀は毎晩お稽古を終えると、僕の家にタクシーで駆け付けた。
「やっぱりね~、お稽古に対しても前向きにがんばれるみたい!セルジュにいいとこ見せるんだ~。」
おそらく技術としては飛躍的な変化はないのだろうが、静稀の姿勢と表情がムラでの公演の時とは全く別人となったらしい。
静稀はようやく、止まっていた成長を再開した。
すぐに、石井さんから僕に連絡がきた。
静稀と僕のよりが戻ったことで、榊高遠くんがまた輝き始めた、らしい。
お礼を言ってくださる石井さんに、僕は東京公演の全日程のチケットを全て2階席で準備してもらうようにお願いをした。
12月29日、静稀は先に東京へと旅立った。
僕も一日遅れて向かうつもりだったのだが、思わぬ人がやってきた。
僕の父だ。
「セルジュ!顔が!ああああっ!」
亡き母に似た僕の綺麗な顔を愛してやまない父は、僕のギプスよりも既にガーゼの取れたかさぶただらけの右頬を見て、大騒ぎした。
「お帰りなさい。どうしたの?急に。珍しいじゃないか。」
「どうもこうも、マサコさんに知らせていただいて、飛んで帰ってきたんじゃないか!」
クリスマス&ニューイヤーシーズンなんて、パーティーで忙しかろうに、よく帰ってきてくれたな。
普段会えないけど、いや、会えない分、父の愛情を感じて、僕は素直にうれしかった。
ちょうどいい機会なので、僕は父に静稀の話をした。
10年後か、15年後か、下手すれば20年後かもしれないけど必ず結婚します、って。
父は、感慨深そうだった。
そして、忙しい父は、我が家にきっちり5時間だけ滞在して、また赴任国へ飛んで帰宅した。
Merci d'être venu,papa
……来てくれて、ありがとう……パパ。
年の瀬の新幹線は、さすがにすごい混雑だった。
右手の使えない僕は、荷物を全て送ってしまい、身ひとつで移動したが、それでも大変だった。
マサコさんの言う通り、グリーン車を予約しといて正解だったな。
ホテルにチェックインすると、そのまま眠ってしまったぐらい、疲れた!
静稀は、夜22時頃やってきた。
「おかえり。」
笑顔をキラキラさせて、静稀が僕に飛び込んでくる。
右手が使えず支えきれない僕は、倒れそうになる。
「危ないよ。」
静稀の頭を撫でながらそう窘める。
「ただいま!セルジュ〜。会いたかった〜。1日長かったよ」
僕にすり寄ってくる愛しい静稀。
「お稽古がんばれた?悔いなし?」
「うん!がんばった!今更泣くほどがんばった!」
今更(笑)
確かに、既にムラで1ヶ月半公演してきてるのに。
静稀がいかに気持ちを入れてなかったかを改めて知り、僕は苦笑した。