優等生と平凡な私

主人公の高校入学

私、川島那美子(かわしまなみこ)は今までを振り替えると、つくずく平凡な人生を送っていたと思う。
見た目、成績、運動神経、どれを取ってみても並々以下でしかなかった。

なので中学でも、特に男の子に相手にされる事もなく、女の子の恋愛話を聞かされたり、挙げ句に告白に付き合わされたりした事もあった。

そんな彼女も高校受験、とりあえず近場の公立高校を受けようと、受験勉強にあきくれていた、中三の10月である。

とりあえず滑り止めの私立高校をどこにしようかと考えていた矢先、急に父方の祖母が家にやって来た。

「那美子も高校に受験だろうと思って、話をしに来たんだよ」

そう言って、祖母は母の入れてくれた緑茶をすすっと飲んでいる。

「まぁ、勉強はとりあえずやっているし、学校の先生も高倉(たかくら)高校なら大丈夫って言ってもらってる」

それを聞いた祖母は、急に怒り出した。

「何、何んだって！高倉！！何でそんな田舎の高校を受けるなんてするのさ！」

「え、だって高倉が一番家から近いから。それに周りでも同じ高校志望の子も多かったし...」


「いいや、駄目だね。那美子も自分の将来を考えるなら、もっと教育のしっかりした所を選ばないといかんよ。そこでだ、那美子お前は聖報学園(せいほうがくえん)にしなさい」

それを聞いた那美子は、思いのほか驚いた。

「聖徳って、あの聖報学園！何であんな名門私立高校に行かないといけないの。あの高校だとバスで50分は掛かるんだよ」

那美子はあわてて、彼女の側にいた母の清美を見た。

母も最初とても驚いたが、暫し考えて言った。

「どこの高校に行くかは那美子が決める事だと思っていたから、お母さん特に反対はしてなかったわ。でも那美子が聖報学園なんて、夢のようね。あそこは制服も可愛いし...」

母も祖母の話を聞いてから、段々と気持ちが変わりはじめていた。