小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「……おはよ、梶山君」


「ひっ!うっわああああああ!びびった!マジで!!なんすかすみれさん、どしたんすか」


ガタガタと大袈裟にデスクやら椅子やらに身体を打ち付けて派手な音を響かせて梶山君がおののいてみせる。


……大袈裟なんだから。でも、この子はいつもこう。

梶山智(かじやまさとし)、22歳(確か、この四月に新卒で入ってきたから、という推測)。

世間一般にイケメンと称される整った顔立ちと高めの身長と、持って生まれたと推測される軽めの性格で、この塾において大人からも子供たちからも大分モテモテな男。

勿論この狭い職場という世界を出ても女子には全く不自由していないようで、そんな話も悪びれずにする。
あまりにもあっけらかんとしているためか、嫌悪感を抱かれそうなチャラいエピソードも受け入れられている不思議。

サービス精神が旺盛で、地味でごくフツーの私にもきちんと女子っぽく接してくれる、ある意味いい人なんだと思う。

そして、さっきの会話の相手が『俺って意外と一途なもんで』といつも自慢している彼女なんだろう。
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