小悪魔な彼の想定外な甘い策略
ちょっと悲しい気持ちになりながら、立ち止まる梶山君の横に立ち、無言を貫く。


「よし、じゃあ、キスでいいです」


「……」


プロポーズから始まって、どんどんランクが下がっていくのも気になるけれど、一体そもそも急にどうしたの?


そっと見る横顔は、いつものように笑っていない分、恐ろしく整って見えて。


「よし、じゃあ、握手でも……「梶山君」


耐えきれずに、言葉を遮る。この調子で値切るようにランクが落ちていくと最後はどうなるのか見守りたい野次馬根性もあったけれど、なんだか辛い気持ちの方が大きくて。


「……はい?」

今まで私に話しかけておきながらまるで初めて私の存在に気がついたかのような、驚いた声。
いや、あなた今まで誰にせまってたのよ……。

脳内でツッこみつつ、話しかける。

「それは、もしかして、新手の励ましなのかもしれないけど、私は大丈夫。それに、そういうことは彼女がいる人は別の人に言っちゃ駄目なやつだよ」
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