小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「なんすか、って……開いてたでしょ、校舎の鍵。施錠してないんだから、中に職員がいるに決まっているじゃない」


自分でもびっくりするほどかわいくない。
いや、別にかわいさとか追求してないからいいんだけど。


「あー、そういや俺、開けてない!鍵、出してないっす!ハハハ、喋ってたからわかんなかった」


整った顔を惜しげもなくくしゃくしゃにして、まるで少年のように笑う姿は、不覚にもきゅんとしてしまいそうになる。

全体的に色素が薄いせいなのか、どことなく中性的というか、男臭さとかワイルドさとは対極のところにある見た目のお陰で随分と得をしているけれど、この男は大分困った中身だ、とふんでいる私。

さっきのスマホの会話でも分かる。
簡単に愛してるなんて口にするのは、梶山君が若いからなのか、そういう特性なのか。

どっちでもいい。
どっちにしろ、私に愛してると言ってくる訳ではないのだから、問題ない。
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