小悪魔な彼の想定外な甘い策略
一瞬感謝しかけるも、すぐに自分の間違いに気がつく私。


違うな。
店員さんと鉢合わせしたら、絶対私が『恋人説 』を全力で否定するから面倒だと思ったんだな。


「……ていうか、かわいい!それ……」


気がつけば梶山君が試着室のドアをがっつり足でホールドして、閉まらないようにしながら私を見ていて。


「あ、いや、買わないよ?なんか着てみたら意外とピタピタだし、て言うか本当無理、着替えさせて」


「えーなんでですか?買えば良いじゃないですか!めっちゃ似合ってますよ!」


ああ、ここで押し問答してたら、ほら、さっきの店員さんが帰ってきちゃう……!!


私の視線と慌てぶりで気がついたのか、梶山君が楽しそうに笑いながら、かけてあった私の着てきたボトルネックのセーターとレギパンを手に取り、そっと耳打ちする。


「とりあえず、話合わせて!後で色々面倒じゃないですか!恋人ごっこの練習しとかないと、バーで失敗しますよ!」
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