小悪魔な彼の想定外な甘い策略
美味しいのに、とか、ぶつぶつ言いながらずぞぞぞと無遠慮に麺をすする音が事務室に響く。


「……ていうか、いつお湯入れたの?」


私は確かにポットの準備をしたけれど、梶山君はまっすぐ自席に向かい、座っていたはず。


「コンビニにはポットがあって、かわいい女の店員さんがお湯を入れてくれるんですよー」


ん?コンビニの、ポット??


「それって、セルフで入れるんじゃないの?」


「レジの子が、かわいい時は『あれー?出ません』とか言って来てもらいます」


……なんて分かりやすく最低なんだ、梶山君。


「なんでもいいけど、早めに食べちゃいなね、もうすぐ皆来るよ」


いいながらさりげなく換気を兼ねて窓を開ける。

「……すみれさんって、やさしー」


そりゃどうも、と思いつつ、窓から入る空気を吸い込んでいると、なおも梶山君の独り言が続く。(まあ、私が答えないから結果独り言になっているわけですけど)
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