小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「いやあのね、その時は、私も学生だったし、相手は仕事してないプータローっていうか……元々なにもしない人でね、結局ラーメン奢ってくれたんだけどそれでも奇跡的っていうか……」


うんうんうん、と、絶対に聞き流しているであろうスピードで頷く梶山君。


「……すみれさん」


「はい?」


「女の子は、もっと大事にしてもらっていいんですよ。すみれさんみたいに、いい子でかわいいなら尚更」


……5歳上のアラサーに向かって『いい子でかわいい』って……いくらなんでも、リップサービスの域を越えているんじゃ……?


なんとも答えることが出来ずに黙っていると、きゅっと強く手を握り直される。


「そんなわけで、すみれさん、はぴばすでー!」

「……いや、私誕生日8月……」

「んじゃ、すみれさん、メリークリスマス!」


「……う、うん……?」

「だから、受け取ってください。どーーーーしても嫌だって言うなら……」


「嫌だって、言うなら……?」
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