小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「じゃあ、これからなんだけど……時間的に丁度いいから、早めに軽くお腹にご飯入れて、飲みに行く感じでどうですか?」


「飲み、に……」


「そう。勿論RIZEに」


急にドキドキしてくる。うっかり目的を見失いかけていた私。


そうでした。
蓮田さんに振り向いて貰うため、梶山君と恋人っぽくしてバーに行くんだ。
それ、忘れてどうする……。


「でー、ご飯なんですけど……「きゃあああああああああああっ!せーんせーーーー!?!」


背後からの、突然の声に、思わず身体を硬くする。

私が振り向く……より早く、梶山君が、声の方に身体を向け、繋いだ手を素早く離し、二、三歩前へ歩み出る。


その俊敏さは、本当に″素早く″なんて表現が勿体無いほど。

完全にその場に放置された形で、ぼんやりと梶山君と声の主のやり取りを見守る形になる。


あ、あの子は……。
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