小悪魔な彼の想定外な甘い策略
歩きながら、バックバクの心臓を思わず押さえる。

あ……危なかったー!!!


あれでペアルックっぽいの着てた日にゃあ、言い逃れ出来ないっつーの。


梶山君は、うまくごまかせたんだろうか。

1つ、気になることがある。


室岡さんが『すーちゃん先生』なんて呼び方で距離を縮めてきたのはつい昨日のこと。

でも今日はがっつり『すみれ先生』に戻っていた。
……む、室岡さん、さっきの私達を見て、なんか勘違いしてない?


いくら梶山君がうまく誤魔化したとしても、変な風に勘繰ったりして、噂とかたてられたらちょっと困る。


それなのに。
噂になんてなったら困ると思っているのに、何故か。


梶山君の素早い対応に、違和感を覚えている私。

ばっと離された手。
当然のように開けられた距離。

当たり前なのに。教え子に見られたらとんでもないから、至極まともな対応なのに。


……何故かほんの少し、傷ついている自分がいて。
< 137 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop