小悪魔な彼の想定外な甘い策略
自分でも説明がつかない。


なんなんだろう、これ。


寧ろ、室岡さんの前で手なんて繋がれたら、たまったもんじゃないのに。


パンパン、と冷えた自分の頬を手で叩く。


どうしちゃったの、私。


ブブブブブ、ブブブブブ


鳴り響くバイブの音で、慌ててスマホをバックから探し出す。


『誤魔化し任務、完了ーーー!でも、万が一に備えて、このまんま時間差で行きまーす!先にカフェ向かっててください、ここです』


梶山君からのメッセージにはご丁寧にURLが貼られていて、開いてみるとすぐ近くにあるらしきカフェの情報が出てくる。


な、慣れてる!

彼女とも彼女じゃない子とも、色々なところに行っているんだろうな。


あ、そうだ、だから彼女いるんじゃん、ってば。

そうだそうだ、と独りごちて、私は指定されたカフェへと向かって歩き出した。

段々風が冷たくなってきたので、思わずピンクゴールドのカーディガンの袖口をきゅっとつかみながら。
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