小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「それ、作戦が成功してから言ってください、フルコース食べながら」


「そ、だよね、気が早いよね、ははは」


「幸せになってくださいね」


「う、うん……」


意外なほどに真剣なトーンの梶山君にほんの少したじろぐ。



それじゃ行きますよ、と梶山君がバーの重厚な雰囲気のドアに手をかける。

1歩後ろに立ちながら、今までで一番ドキドキしている自分に気がついて。


ここに来るときはいつもドキドキするけど、今日は訳が違う。


ここまでしてくれる梶山君のためにも、男運の悪さに辟易としていた今までの自分のためにも、蓮田さんと幸せに……なりたい、んだよね?

緊張感のせいか、私ちょっとおかしくなってる。


……このままがいい、って思ってる?

蓮田さんと、じゃなくて。


今こうして、私を励ましてくれる梶山君といたいと思ってる?
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