小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「な……に?」


寒くて冷たい空気の中、妙に存在感のある梶山君の手。


何を言おうとしているの?

私、今ちょっと気持ちが定まらないから余計な刺激を与えないで欲しいかも。


だって、ほら。
蓮田さんに間接的にフラれたわけだし。

なっちゃんにまた怒られるよ。
でも、ちゃんと報告しなきゃな。

『だからあんたは!!』って言われるだろうけど、一緒に飲んで忘れるんだ。


協力してくれた梶山君と、その彼女には悪かったけれど、結構今までの中でも最悪な感じかも。
ゲーム感覚で誰とでもヤる男でした、なんて。
そんな人とヤっちゃいました、なんて。


……この、重苦しい気持ちはそのせいだ。
自分の駄目さ加減に泣けてくるんだ。


まっすぐ、蓮田さんへの気持ちを貫く詩音さんは素敵だった。


私もあんな恋がしたい。


……って。
私がこれだけ回想出来る間中、無言ってどういうこと?
場所も場所だし!


ぐ、ともう一度手を離そうとしてみる。
< 166 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop