小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「ねーねー、さとしっちの彼女って美人ー?」

「美人に決まってんだろ!そんで、モデルみたいにスラーッとしてておっぱいでかくてサイコーだ、あと俺センセーだからさとしっちって呼ぶな!」

「えー、さとしっちにはそんな彼女、もったいなーい!」


キャアキャアと盛り上がる会話に、ハッと我にかえる。


いけないいけない、とにかく早く上がって……あそこに行ってみよう。

まだまだ続くしょうもないやり取りを視界の片隅に感じながら、私は目の前の仕事に集中した。
さとしっち、ってリズム感変だよ、などと脳内でツッコむ暇などない。


お陰で割と捗り、10時半には出る準備が整った。

「お先に失礼します!」


まだ残っている職員に声をかけ、席を立つ。


「お疲れ様」
「ゴフ、おつかれでーす」


上司と共に梶山君が挨拶をしてくる。
変な音がしたのでチラリと見ると、チョコバー(しかも結構でかめ)を口にくわえたまんま手を振ってくる。

生徒達はいなくなっているものの、それはどうなんだろうと思いつつ、軽く手をあげて応え、職場をあとにした。
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