小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「いや、前も聞いたし。彼女なんてさ、別に法で守られてるわけじゃないんだしさ」


……それは奪えということでしょうか。



そんな冗談はともかく、話しながら、地味に傷ついている私。


……そうだよね。
酔っ払ってたいして好きでもない(そのときは好きだったはず)人とエッチして、しかも記憶がなくて、んでその人にはどうやら敵わない相手がいる、と分かったら気持ちが冷めて……なんて絶賛迷走中の私。

梶山君に、会わせる顔なんてない。

ましてや、好きになんてなっちゃいけない。



……私、軽蔑されているのかな。
そういえば、あの日以来、仕事が忙しいせいもあるし、私もなんとなく距離を置いているっていうこともあるけれど、梶山君とゆっくり話していない。


軽蔑されるのは、嫌だな。

なんなんだろう、この気持ち。


「ほーれ、お食べー!!」


なっちゃんから、揚げ出し豆腐の入った小皿を受け取りつつ思いを馳せる。
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