小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「……何をそんな死にそうな顔しているわけ?」


「……なんでだと思う?」


私の心の底から出た疑問を、なっちゃんが鼻で笑う。


「……フンッ。あのね、アタシ何歳に見える?みたいなしょーもないクイズやめて、もう」


「あ、違うの違うの、ほんとに。本当に自分で自分の気持ちが分からないの」


カウンセリングを受けるのって、こんな気持ちなんだろうか。

ゴールの見えない迷いの中で、正解への道筋を求めてすがる、みたいな。


答えを求めて、なっちゃんの、レモンをもてあそぶ綺麗にネイルの施された指先を見つめる。


「自分の気持ち、ねぇ……」


まるで独り言のようになっちゃんが呟く。


「多分ねぇ、答えは出ているのよ、自分の中で。でも、認めたくないのかもね」


なにそれ。答えは出ている?


私は本当に思い当たる節がなくて、しばし考え込む。
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