小悪魔な彼の想定外な甘い策略
イタタタタタ。
何だか、胸が痛いんですけど。


……本当だ。私は、いい人ぶっていたけれど、単に蓮田さんへの想いが無くなっているだけなんだ。
好きかも、なんて、勘違いに気づいただけなのかもしれないし。

そして、梶山君の事が気になって。


「それで、あんたが今どうにもこうにも気持ちが晴れないのは、『バーテンと酔ってヤっちゃったみたい、てへ』的なことが梶山君にばれちゃってる、って、事実でしょ？男って何だかんだ、女に処女性っていうか、純情さを求めるじゃん。口には出さなくても。ていうか、好きな人の前でわざわざアバズレ感を出したい人なんていないしね」


「……！」


思わず両手を叩きそうになる。
なんてすごいんだ、なっちゃん。


「……なっちゃん、心理カウンセラーになれるかも」


「いや、無理。これは、あんたの話をじっくり聞き、これまでの恋愛の傾向を熟知し、その上ではっきり言わねば、という揺るぎない友情から来ているのであって、基本私こんな他人にズバズバ物言えない」


そ……そうですか。


酔いも手伝ってか、確かに今日のなっちゃんはよく喋る。
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