小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「……あぁ、かわいい」


小さく聞こえた言葉は、なんだかとてもくすぐったくて、受け止めかたが分からない。


折角緩んだ力がもう一度ぎゅーっと強く入って、息が苦しく感じられる。



「すみれさんがそんな人じゃないことくらい、分かってます。俺はそんなことにいちいちイチイチ気持ちを左右されるような男じゃないです」

この前も思ったんだ。
冗談みたいなキスをされた時に。


……こうやって、梶山君に触れていると本当に気持ちがいいってこと。
嘘みたいに気持ちが落ち着くっていうこと。


……ずっとこうしていたくなるっていうこと。


「……記録ストップですね」


「なんの?」


「悪い男に引っ掛かってきた、すみれさんの連敗記録」


失礼な、と思いつつ、言い返せないところが我ながら情けないけれど。
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