小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「ダメですよ、酔ってたから覚えてないとか、そういう……ん、」


さっきもそれ、言ったし、と思いながら思わず梶山君の頭を引き寄せ、キスをする。


「……だいじょぶ、忘れないよ」


どんだけ人の事を酒乱扱いするんだ、なんて軽口を叩こうとしたけれど、吐息が掛かるくらい近くでもう一度、

「好きです」

と言われてしまったら、後は何度も何度も深いキスをお互いにしてしまった。


「……っ、好き」


終わらないキスの合間に漏れる言葉は自分でも驚くほどに素直で。



少しずつ育っていた気持ちに気がついてよかった。


私達は、これから『恋人』として、生きていく。



「……帰りたくない」

ぽつりと呟く梶山君に、

「それ普通女子の台詞だし」

と返せば、

「だってすみれさん言ってくれなそうだし」

むくれる顔も、なんだかかわいくて。


こんなやりとりをしながら、噛み締める幸せに、ちょっぴり泣きそうになった。

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