小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「なに?なんか、まずかった??」


慌てて伸ばした手を、強く掴まれる。
びっくりするけど、ちっとも嫌じゃない感覚で。


その大きな手は『かわいいともくん』のものでもなければ『職場の後輩の梶山君』がする仕草でもなくて。


ああ、私は、とっくに、好きだったのかもしれない、と思い知らされる。


「あんまり嬉しがらせないで。バランスが狂います」


そんなことを言われると、胸が苦しいんですけど。


冬の夜、冷たい空気のせいだけじゃなくて、とにかくこの温かい存在が心強いと思った。


幸せになってもいいのかもしれない、という予感を胸に、私はもう一度強くその手を握り返した。






*おしまい*
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