小悪魔な彼の想定外な甘い策略
それから何年も経って、就職先で再会したときは、本当にびっくりした。


そりゃあ、あの学習塾の講師の面接試験のとき、すーちゃん先生の事が頭をよぎらなかったと言ったら嘘になる。


だけど、高校生になり、遅めの成長期でぐんぐん身長が伸びると同時に手のひらを返したように女子にちやほやされ、それなりに青春を謳歌していた俺としては、同窓会で初恋の子に再会したような甘酸っぱい気持ちだったんだ。


懐かしいな、くらいの。


本当に、『ああ、すーちゃんセンセを守る、なんてガキみたいなこと平気で思ってたよな』と、暖かい気持ちになるくらいの。


それなのに、再会したすみれさんと来たら、全く俺に気づかないし。


まぁ、中学生の頃とは全然違うのに、一発で当てられるのもなんか嫌だけど。


それにしてもさ。
普通、もう少し……と、悶々とするうちに思い当たる。


そういえば、すーちゃんセンセは天然だったな、と。
< 207 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop