小悪魔な彼の想定外な甘い策略
もう、痛い目を見たくなくて、これだけ予防線を張ってきたというのに、私ときたら。

……でも、実は、これまでの恋とは違うんじゃないかって気もしてる。

蓮田さんは、今までの人とは違うもの。

そもそも、彼に初めて逢ったのは先週のこと。

珍しく職場を10時前に出られた私は、ウキウキと駅までの道を急いでいた。
特にその後予定があったわけではないけれど、やっぱり早く帰れるというのは嬉しいもので。


15分の道のりの、丁度半分まで来た辺り。
駅に近づいてきたこともあって、段々お店等も増えてくるエリアを私は足早に通りすぎようとしていたんだ。


ふと見ると、前に、白いシャツに黒いパンツ、その上に黒くて長いエプロン、という明らかに一般人とは違う出で立ちの人がせかせかと歩いていて。

抜かそうかな、どうしようかな、という距離感の中、何となく後ろをついていたら、『あ』と小さく声が聞こえて。
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