小悪魔な彼の想定外な甘い策略
やけくそになって、そのあとも残って仕事をした。


誰も居なくなった事務室にいると、すみれさんのことばかり考えてしまってやばかった。


『大切なのはこれから。』なんてかっこよく言っておいて、『今頃またヤられてたらどうしよう』とか妄想すると止まらなくて。

俺、仮にもモテモテなのに。
女に不自由したことないのに。

何で、こんな、一人で惨めな気持ちを抱えているんだろ、って虚しくなって。


やっぱり、大好きなんだと、思い知った。

かっこつけてる場合じゃなくて。


あんな奴のところに行くな、俺が守ってやるって、ていうか側にいさせてって言わなくちゃと思った。



そんな鬱々とした気分で歩く帰り道、夜中なのにそこにすみれさんが現れたら、ついに妄想し過ぎて幻が見えちゃったかと思うよね。


だけど、そこにいたのは本物で。
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