小悪魔な彼の想定外な甘い策略
ん?と思い、顔を上げるより早く、視界に飛び込んできたオレンジ色の塊。

え?なにこれ?え??
……と、思いながらよく見ると、それは本当にオレンジで。

ごろごろごろ、とやって来たものをパッと見ただけで、6、7個はあるように見えて。

反射的にその転がる塊に手を伸ばす私。

えい、えい、と無心になってオレンジを捕まえる。

幸い、道の傾斜はとても緩やかで、私の手の届かなかったオレンジ達も、静かに暗い道の至る所で停まっていた。

『すいませーん、ありがとうございます!』

夢中になってオレンジを追いかけてあいた分の距離を、向こうから走ってくる彼が呼び掛けながら詰めてくる。


優しげな声。
暗い道と明るいオレンジのコントラスト。
そして、まさかの甘いマスクの超イケメン。


非現実的な空間に飛び込んだような気持ちになり、思わずその彼の綺麗な顔をポカンと見つめてしまったんだ。
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