小悪魔な彼の想定外な甘い策略
飛び上がるほど嬉しかったのに、それを一切態度で示さなかった。


その、代わりに。
道にオレンジを転がしたり、グラスを割ったり、そういう一面を見せることでそのギャップにやられた子を惚れさせるのをゲームのように繰り返した。

どんな事をしても面白いくらいひっかかる女の子達と、俺のやり取りを、詩音は側で見ていた。

それなのに妬かない詩音に焦った俺は、その子達と、既成事実を作った。

ヤってもいないのに、ヤったふり。


いや、今まではフツーにヤってたんだけど。
詩音が来るようになって、あの頃の話をして、なんてしてたら他の子に欲情しなくなって。


優位に立ちたくて、詩音とはセフレでよければ、みたいな外道な台詞を吐いて、身体を重ねていて。


普通に好きで、普通の気持ちで抱いているのに、昔の俺のプライドが許さなくて『お前なんてセフレだ、俺は他の子とも遊びまくってる』っていう、猿みたいな、アホみたいなスタイルを保って。
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