小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「……いや、蓮田さんは、そんなんじゃないし……きちんとした丁寧な物腰で仕事もしっかりしてて、でも私には砕けた口調で……」


「特別扱いされて、お姫様気分ってこと?」

ちょっと怒ったような言い方と表情で、なっちゃんが私に言葉を返す。


「……なっちゃん、なんか怒ってる??」

恐る恐る尋ねる私。


「ううん、怒ってないよー、ただ、昔のあんたの恋愛経験を聞いたり、知り合ってからリアルタイムに相談に乗ってきた身としては、変に同調して、ろくでもない男にイイネイイネなんて言えないし」


バーテンダー=ろくでもない、という図式はあまりにも短絡的では?とか。
本当に誠実そうなんだけど、とか。
出会いのシーンがなんだか素敵でしょ、とか。


色んな気持ちを飲み込んで、取り合えず自分のワンプレートから、ブロッコリーのフランをつついて口に入れた。


「もー、梶山君にしておけばいいのに」

不意に投げ掛けられた言葉に、フランが喉に詰まりそうになり、げほげほと咳き込む私。
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