小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「ゲホ、ゲホ……な、んでよ、またすぐ……」


慌てて自分で自分の胸元を軽く叩きながら水を飲む。


「大丈夫?だってさー、いいじゃん、梶山くんだったら」

そう。
4月に梶山くんが入社して以来、その次々繰り出す不思議な行いやら女子生徒の人気ぶりやらを伝えるうちに、なっちゃんは梶山くんをやたらと推してくるんだ。


「この間だってね、食べかけのカップラーメン勧めてくるんだよ?中学男子じゃないんだからさ!」


新しい梶山くんのエピソードを聞いて楽しそうに声をたてて笑うなっちゃん。


「生徒の前で?あはは……さすが!若いよねぇ」

「いや、さすがに生徒が来る前だったけど、残り香半端ないし」

もう一口、フランを口に運びながら報告を続ける。

「の!こ!り!が!!」

残り香がツボってしまい、笑いの止まらないなっちゃん。


「それに、相変わらず女子に囲まれてキャーキャー言われてるよ、それを全身で受け止めてるのよ、なっちゃんの言うところのろくでもない男でしょ、彼こそ」
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