小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「あとそれからついでに不倫中とか、ほんと止めてね、笑えないし。ていうか、梶山君こそ何をしに来たの?」


「俺は、フツーに忘れ物です。すみれさんは仕事熱心っすよね」


何やら自分のデスクをごそごそしながら梶山君が言う。


「いや、そういうんじゃないし。私だってとっとと終わらせて家に帰りたいよー」


やっとパスワードを入力し終えた画面を見ながら答える。


「わー、んじゃそんなの止めちゃって一緒に今からデートでもしませんか」


……この若者は本当に、と感心にも似た気持ちが沸き起こる。


「……モデルみたいで、オッパイ大きくて、素敵な彼女に怒られるよ?」


「えっ、詳しくないっすか?やばい。俺に興味津々ですね、すみれさん」


いや、アンタしょっちゅうそれ口にしてるから……嫌でも覚えますよ、と言いたいけど黙っておく。

この勢いじゃ『いつも俺の言葉に耳を傾けている!』とか取られかねない。
< 47 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop