小悪魔な彼の想定外な甘い策略
なーんて、聞けるはずもなくて。
コンソメ味かどうかも自信がないし(そこじゃない)。


「……一人でいるのが怖い臆病な先輩のために自然体で付き添う後輩の優しさ……これだけで中高生が食いつく映画が一本撮れそうですね」


はぁああああ?
バカだ。この子、思ったよりバカだ。いい大学を出ているって聞いたけど、そういう部分じゃないところでバカだ。


冗談に決まっているのに、あまりにさらっと言うのでなんか空気が変なんだけど。


「いや……いくらなんでも、昼間だし、そこまで怖がりじゃないし」


「真っ昼間、ここで腰抜かしてたのはどこのどなたですか?」


いや、それはアンタが物音をたてるから……と言い返そうとすると、おもむろに自席できゅっと丸くなる梶山君。


「……なにそれ?」


何となく嫌な予感を胸に抱きつつ尋ねてみれば、

「机の下でちいさーーーーく丸まるすみれさんの真似です」


……予感的中。
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