小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「もー。なんでそんなに全力でバカにするわけ?!私、ちゃんと一人暮らしもしてるんだからね!」


キッパリ言い放ち、ふと見ると、抱えていたスナック菓子の袋を握り締めて爆笑している梶山君。


「な、なによう……」


「アハハ、一人暮らしとか超普通なのに威張ってる!なんすかそれ、超びびり!もしかして、夜寝るとき、まさか部屋中のライトとか付けっぱですか?」


さも面白そうに言い、涙を拭う仕草までつけて、私の方を向く。


「……つ、つけっぱなしだけど……?」


くそう。
図星な自分が悔しい。だって、真っ暗じゃ怖いんだもん……。


「そんなお子ちゃまだから、彼氏出来ないんですよ」

む、むかつく。
そりゃ、今はいないけど……そんな話をしたこともある気がするけど。

「いや、彼氏候補くらい居ますから!」

……言い過ぎた。完全に見栄を張りすぎた。でもさ、『候補』なら、嘘じゃ……ないよね?


ガタン、とまた玄関で物音がする。

「おー、おはよー、ってお揃いでどうしたの?」

そこに現れたのは、石川さんで。
いつもの通り、人の良さそうな笑顔でにこにこしている。
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