小悪魔な彼の想定外な甘い策略
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「おおおお、雰囲気違うねぇ。……うん、かわい」
カウンターから投げられた声に、身体中からどうしようもなく嬉しい気持ちが溢れそうになる。
「くるっと回ってみたら?」
言われるがまま、その場でくるり、と回ってみる。
「うんうん、凄くかわいい。さぁどうぞ、姫」
恭しくお辞儀をするようなポーズの蓮田さんを見つめながら、甘い何かが込み上げる。
あー、もっと気合いを入れればよかった、と後悔しつつ、促されてカウンターのスツールに腰かける。
結局あのまま職場から家に帰り、準備をしてここへ来た。
開店と同時じゃ恥ずかしい、とか。
あんまりガチガチに気合いの入れた格好じゃ引かれるんじゃ、とか。
いろんなことを考えて、考えすぎて、結果ボートネックで着痩せを狙ったしんぽう……じゃない、シンプルな膝丈のチャコールグレーのワンピースに、黒い皮のロングブーツを合わせて、そりゃあもう地味な出で立ち。