小悪魔な彼の想定外な甘い策略
カウンターの向こうから、目が合えば微笑んでくれる甘いマスクの王子様。

……って、おいおいおい。
私、飲む前から酔っ払ってる。


だけどさ。そりゃ、酔うよ。

蓮田さんと喋ったり、隣り合わせたお客さんと喋ったり。
お勧めの長い名前のカクテルを飲んだり、枝に付いたままの干し葡萄を食べたり。
働く蓮田さんをチラッと見たり。
で、目が合えば何だかんだ構ってくれるなんて。
この雰囲気に酔わない方がどうかしてる。


ふと時計を見る。確か、19時くらいにこのお店に着いたはず。

気が付けば23時を過ぎていて、本当に驚く。


何杯飲んだんたろう?
飲み口も軽いものが多いし、勧められるままに結構飲んじゃった気がするけど。

そんなことをまるで他人事のように考える。
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