小悪魔な彼の想定外な甘い策略
酔っ払った頭で、『あー、明日も仕事だ』とぼんやり思い出せば……お休みなのに職場で仕事をやっつけていた昼間のことがふと頭に浮かぶ。


あーあ、梶山君に嘘ついちゃったな。彼氏候補、なんてよく言えたもんだ。

ぼんやりと、カウンターの向こうの蓮田さんを見る。

甘いマスク。何がどう甘いのか観察するけれど、ドキドキしちゃってよくわからない。
くっきりとした二重の目がポイントのような気がするけど。
いつも少し笑っているような口元も、薄い唇にセクシーさを漂わせていて。

明るめの髪の毛は、ゆるゆるとパーマがかかっていて、それなのに何だか清潔感があって。


ダメだ、素敵すぎる。
でも、蓮田さんの素敵さは見た目だけじゃないから。
ただのアラサーの私にも優しく接してくれる。
それどころか、他のお客さんとは違う扱いをしてくれて。

蓮田さんも、自分で『お客さんとは距離を置くようにしてるのに』みたいに言っていたから、この特別扱いは私の思い込みではないはず。
< 57 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop